匠とは「常に最善の方法を考えながら、丁寧な仕事が出来る人」

No.1

東急キャピトルタワー / 清掃責任者

永松 富士夫

職 場

千代田区という都心の一等地にあるタワー型複合ビル「東急キャピトルタワー」。永松氏はここで、40数名のスタッフを管理する責任者として勤務している。受け持つ施設は、オフィス空間だけでなく、世界の賓をもてなすラグジュアリーホテル「ザ・キャピトルホテル 東急」とそれに伴うホテル関連施設などで構成された国内有数のハイクラスの複合ビルだ。

プロフィール

永松氏がこの世界に入ったのは15年前、以前は、高級服地を取り扱う総合卸問屋に勤務していたが、会社の事業縮小を期に退職。清掃の世界で生きていくことを決意し、ビル管理会社に入社。永松氏はここで清掃の基本を学んだ。

Episode1.伝える

まずは実演し、作業工程を確実にインプット

現在の業務内容は、毎朝8時から清掃スタッフの全体ミーティング、10時から施設責任者ミーティングに出席。それ以降は、清掃責任者として、スタッフへの指導や困難な汚れの対応、その対処方法についてスタッフに指導する。 対処指導の内容はこうだ。永松氏は、過去の服地問屋で培った生地を見分ける経験から、常に素材を意識した指導を行っている。例えば、塗装された化粧板やガラス面に付着し硬化してしまった汚れを落とす場合には、通常、薬剤を使用して除去するが、下地に影響を及ぼす可能性があるため、永松氏はスクレーパー(3枚刃)を使用し、汚れ自体を削り落とす。スクレーパーは削る作業には優れているが、力の掛けかたを誤ると素材に傷が入ってしまうので注意を要する道具だ。
永松氏は、スクレーパーの刃を汚れ面に平行(水平)にあててまっすぐ降ろし、慎重に削り取る作業を実演し、丁寧にスタッフを指導する。
また、エスカレーターの側面など、ステンレス板に付着した油汚れの除去は一見簡単な作業であるが、手順を誤ると素材に傷をつけ、余計に汚れやすくなる。ステンレス面の筋目に沿って、少量の薬剤を含ませたクロスで油汚れを撫で下ろすように作業することで、素材を傷めないで汚れを落とす方法を実演し、スタッフに一つ一つ丁寧に解説を加えながら指導している。
このように、永松氏の技術指導は、必ず実演(手本を示す)行うことにより、スタッフが作業工程を確認しながら確実にインプットしやすい方法で行っている。

Episode.2チームワーク

チームで協力し、高め合う

仕事を行う上で永松氏が大切にしていることがある。それはチームワークだ。ある日、お客様からのクレームにより、駐車場の壁面の石が汚れを指摘され、直ちに除去するよう依頼された。壁面に使用されている石は洗剤類が付着するとシミになりやすく、極めて難易度が高い作業である。永松氏は、早速、作業に取りかかったが、汚れが一向に落ちなかった。作業を一旦中断していたところ、以前、同施設の立ち上げを一緒にやった仲間(他の事業所勤務)からこの石に適した洗剤が届けられた。早速、作業を再開。完璧とはいえないまでも、汚れを落とすことができた。
清掃は、担当する持ち場を1人で行うことが多く、問題が発生しても個人で対応しがちであるが、お客様に満足の得る仕事をするためには、「全員が知恵を出し合い、協力して問題を解決することが大切だ」と永松氏は語る。

from Staffスタッフから

信頼できる親父

今年、65歳となる永松氏。経験知識が豊富で、何でも相談できる親父的存在として、同じビルで勤務する清掃スタッフからは信頼は絶大。清掃スタッフにとって頼れる責任者として支持されている。

永松さんからのワンポイントアドバイス(お掃除の常識)

ステンレス(つや消しタイプ)面の清掃方法(本編で紹介)

ステンレス面に付着した汚れは、少量の薬剤を含ませたクロス類で研磨目に沿って均一に力をかけ、汚れを撫で下ろすように落す。研磨剤の成分が入っている場合があるので、絶対に左右には擦らないこと。(小傷が入る)

クロス類に洗剤を少量取る

筋目に沿って撫で下ろす

横には擦らない

(2015年7月25日時点)